海界の村を歩く
第6話 隠岐らく紀行 〜島根県隠岐〜

山陰の日本海に浮かぶ隠岐ノ島。
私は以前よりこの島にずっと思いをはせていた。日本海の漁村には共通の姿があった。浜辺に「舟屋」と呼ばれる舟を格納するための建物が見られる。隠岐にはその原型ともいえるような建物群が残っている。そしてもう一つの理由は、若いころ大ファンだった女優田中美佐子さんの出身地であるということ(いきなりオチルが、、、)。その故郷を一度拝みたい。そして、満を持して2011年のGWに探訪を実現させたのであった。
島旅では本土の旅では考えられないようなハプニングにしばしば遭遇する。今回はネットによる下調べに基づいて
綿密に計画を立てたつもりである。スケジュールも四島巡ることや天候の悪化に備えて余裕を持たせ贅沢に4泊5日!とし、身体への負担を軽減させるため往復飛行機(羽田⇔米子)をおごった。だから今回は、天候さえ大幅に荒れなければ「隠岐らく=お気楽」な旅になるであろう。
 「旅しながらなぜか口ずさんでた曲」でも聴きながらお気楽にご覧あれ

1日目

羽田〜境港〜島後
「ありがとう」

羽田発6:50am米子行きANA811便は定刻通り米子鬼太郎空港に着陸した。境港市の郊外にある空港からの路線コミュニティバスは、境港市内の細い住宅街の通りをあちこち経由し地元民を拾いながら中心部へ向う。そして、9:30am前には境港駅と直結したフェリーターミナルに到着した。

境港は「ゲゲゲの鬼太郎」の作者水木しげる氏の出身地ということで、ゲゲゲの鬼太郎をテーマにした町興しで有名である。水木しげるロードはそのメインの観光スポットだが、
朝も早よからたくさんの観光客で賑わいを見せている。NHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」効果なのか、人気は数年前に訪れた時をはるかに上回っている(この2011GWが観光客数新記録だって)。しかし、何でもかんでも妖怪、妖怪、妖怪。うーむ、ちょいとあやかりすぎではないか。一時の清里(山梨県)を見ているようだ。


JR境港線のゲゲゲの鬼太郎列車

でも、面白いことに、水木しげるロードを中心とした一角を外れるとパッタリ人気はなくなり、
素の街が現れる。ほんと線でも引いたかのように。「そうか、その極端なギャップが実は魅力なのかも」と感じた。

フェリーターミナルへ戻る。さぁ、いよいよ隠岐へ渡ろう。11:50am発の隠岐汽船高速船レインボーは、ジェットフォイル並の
時速70kmで日本海の水上をかっとび、13:17pmには隠岐最大の島、島後の西郷港に着いてしまう。
 
 

羽田空港にて

境港 ゲゲゲ妖怪キャラクターのパンセット

境港 水木しげるロードを外れると素の街が現る

隠岐汽船の高速船レインボー 時速70km

島後 西郷港町(島根県隠岐の島町)

島後
西郷〜都万〜北方

「CHE.R.RY」

西郷は隠岐最大の街。まずは腹ごしらえということで、とある食堂でなぜか名物にされているチャンポンを食した後、レンタカーを街最大の商業施設に停め歩きはじめた。商業施設の裏手に坂道があったので上ってみると、
なんと西郷の街が一望できるいい場所だった。西郷の港町は、自然の良港西郷湾にそそぐ八尾川に沿って形成されている。

丘から八尾川沿いの町に下る。すると、橋の向こうになにやら
干したイカが電動でクルクル回転している。街を一周してあの「回転イカ」まで歩こう。
川の線形にしたがって忠実にカーブする町並みは、歴史的に古いかというとそれほどでもない。一通りの業種の店が並んでいるが、
電気屋がやたら多いのはなぜ?。八尾川河口は海水が流れ込んだ運河。水辺の家並みや橋の景観はとても美しいものだった。
ところで、「回転イカ」はスルメ製造機であろうか。回転させることで乾燥を早め、
背筋ピーン!とさせるためか。
 

西郷港町 八尾川

西郷港町 「回転イカ」

島後 都万釜屋の舟屋群
さぁ、これからクルマで真円の島後を1日半かけて時計回りに一周する。時計に例えると西郷は5時の位置にあたる。6時の位置の加茂港は、北前船の港町だったと聞いてので訪れてみたが、往時の面影は感じられなかった。

いよいよ今回の隠岐旅で会いたかった釜屋の舟屋群(7時の位置)。おおっ、あった!
20棟がみごとに並んでいる。現在、舟屋が群で見られるのは、2階建の居住スペースにまで発展したご存じ「伊根(京都府)」、平屋の一般的なものでは「筒石(新潟県)」、茅葺き「美浜町伊良積(福井県)」を取材している。平屋ではここ隠岐の釜屋が最も壮観ではなかろうか。

実は今夕、ロウソク島(11時の位置)の遊覧船を予約している。しかし、ここ数日は時化で船が出ていなかった。船頭から電話が入り、
波は高いが船は出すという。小さな船なので船酔いに弱い方はやめたほうがいいとも。島後はとても山がちで一周する道路はアップダウンが激しく、思ったより移動に結構時間を要する。やや走り屋モードで途中の集落は見送り福浦港へ急いだ。

遊覧船は一見して普通の小さな漁船だ。12人ほどの客を乗せて17:00に出航した。重栖湾内でも結構な波である。ところが、外海へ出たらすごい!波は高さ2〜4mだ。しかも、岩と岩の間は流れが乱れてすごいことになっている。
船頭!GW意識して無理に舟出したんじゃないの。そこを、船頭は何事もないように解説しながら突っ込んでいく。舟の先頭に座った自分はほぼジェットコースター状態だ。しかし、ロウソク島の先端にかかる夕日を捉えることに成功!黄砂に霞む空であったことも手伝って、まじロウソクのようだった。

1日目の宿泊地は北方地区(11時の位置)にある民宿味富。ディナーではおいしい島の海の幸を堪能した。主のじっちゃんの話を聞きながら。
 
 
2日目へ

島後 加茂 かつての北前船寄港地

島後 都万釜屋の舟屋群

島後 重栖湾 ロウソク島観光船

島後 夕陽がともるロウソク島

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