明治安田生命ビル街区再開発計画

丸の内は100年以上の歴史を持つビジネス街。その最初の町並みが形成されたのが外堀の江戸城の馬場先門に通じていた馬場先通りである。馬場先通りには明治27年の三菱一号館をはじめとした赤煉瓦の事務所ビルが次々に建設され「一丁倫敦」が形成された。そして、昭和9年に馬場先通りと堀端の日比谷通りとの交差点に面して建っていた三菱2号館が建て替えられ、日本における近代西洋式建築の集大成とも言える「明治生命館」が完成した。
明治生命館は昭和初の重要文化財に指定され、その部分の残容積を加えて背後には超高層タワーが建設された。タワーデザインは明治生命館の構成を意識しながら蛇腹ラインをそろえ、たて強調のガラスと石の外装である。タワーは明治安田生命の本社であるが、低層部や地下には商業店舗が入居している。
また建物の足元には仲通りから皇居へ抜けるボイド、明治生命館の裏側に南北に沿って抜ける自由通路など、歴史的建物の外壁に触れられるパブリック空間を随所に形成している。
仲通り側は31m(100尺)の軒線をつくり、既存ビルとの町並み形成に配慮している。(上)

仲通りから皇居へ抜けるパサージュ。皇居に緑が感じられる。(左)
馬場先通りと仲通りの交差点に面して「ティファニー」が店を構えた。仲通りは東京を代表するブランド街となりつつある。(左)

仲通り側に面する店舗(左下)

仲通り反対側の古河ビル1階にある「レストラン・ミクニ」前で結婚式の記念撮影が。
かつての丸の内では考えられない光景だ。
(上)
仲通りからエントランスホールを通して明治生命館の壁面が見通せる(左)。

明治生命館の裏側に沿って抜けられる自由通路・パサージュ。戦後の丸の内改造計画でなくなったが、かつてはこの位置に細い南北の通りがあった。通称「仲仲通り」。(左)

アトリウムやパサージュからは明治生命館の歴史の外壁に触れることができる。
ガラスの屋根はすべて新築タワー側から支えており、重要文化財へは載せていない。
従前あった明治生命館地下への搬入車路。半分が保存され、半分は地下への階段が収まる。

皇居側の低層部ファサード。歴史的建物と対比させてオールガラスのダブルスキンファサード。(左)

明治生命館と新築ガラス低層部との間の通路。アトリウムを介して仲通に抜けられる。(上)