小室 江戸から大正期にかけて賑わった古寺の門前集落

山梨県
南巨摩郡
増穂町
小室





交通

JR身延線鰍沢口駅下車タクシー





小室



2004.11.03
 持統7年(693年)頃に開創され、その後真言山伏東33カ国の棟梁を経て日蓮上人の直創寺院になった古刹妙法寺。富士川流域は身延山が有名だが、ここ小室山妙法寺も江戸時代から大正時代にかけては多くの参詣客で賑わった。現在は境内に咲くあじさいで有名である。
 妙法寺の山門は明治33年建築とさほど古くはないが、高さ20mという巨大なもので斗供(軒の組物)の造形がものすごい迫力の建築である。山門から急勾配の古い石段を上ると本堂にいたる。一方、山門前には直線的な門前町が形成されている。参道の両側には草葺屋根の平入民家が建ち並んでおり独特な集落形態を呈している。参道入口近くの急坂部分からは遠くに富士山の頂が臨むことができ旅館建築も残っている。しかし、門前町として栄えた時代からは時が経っているため、現在は門前集落と言ったほうがいいかもしれない。
門前町の入り口にある山門。ここをくぐって急坂を上ると門前町。
参道の急坂部分。上った左側に旅館「吹楊楼」の建物が残っている。
急坂を上ると直線的な門前町の突き当たりに妙法寺の山門が見えてくる。
門前町といっても殆どの建物は平入の草葺屋根(トタンカバー)の農家型民家。こういう民家が軒を連ねるのも珍しい景観である。

山門方向から門前町を見ると遠くに富士山が臨める。民家の屋根の形状と富士山が呼応する。

集落の背後から家並みを見る。(左)


高さ20m程ある巨大な妙法寺山門。2段の屋根を支える斗供(組物)の造形がすばらしい。
参考資料 リンク
増穂町
増穂町商工会

参考文献
『日本の町並みV 関東・甲信越・東北・北海道』 西村幸夫監修 平凡社