菅沼 五箇山 庄川の河岸段丘に広がる合掌造集落

富山県
南砺市
(旧上平村)
菅沼





交通

JR北陸本線高岡駅または城端駅よりバス利用




菅沼





2005.10.10
富山・岐阜県境の五箇山・白川郷は隔絶性の高い山村で特異の民家形態が発達した。妻面から見るとほぼ正三角形で60度の勾配を持つ棟高の高い切妻茅葺民家で、屋根を支えるサス組みが合掌組みと呼ばれる「合掌造」と呼ばれる日本を代表する民家形態である。その成立要因は豪雪に絶える構造と、養蚕のための多層化であるといわれている。また、五箇山では火薬の原料である塩硝を生産して年貢代わりに加賀藩に納めていた。この大規模の民家に大家族が住み、家自身が生産の場となっていた。

菅沼は庄川が大きく湾曲して流れる内側の河岸段丘上に位置する。国道からは見下げる形になるので、庄川の谷にたたずむ景観が美しい。全戸数は僅か8軒という小さな集落だが、比較的大型の合掌造り民家が集まっているので集落景観としては迫力がある。
合掌造集落は全国的にも民家保存の先頭に立って早くも昭和45年に国史跡に指定されていたが、平成6年に国重要伝統的建造物群保存地区、平成7年に世界文化遺産となった。
駐車場の所から眺める。
この妻面のプロポーションのなんと美しいことか。
菅沼集落は中央にある田圃に妻面を向けて並んでおり、妻入りが特徴である。
合掌造りは切妻で妻面に下屋を出したものがある。下屋部分は金属屋根と茅葺がある。茅葺のものは大きな入母屋のように見えるが、これは切妻の変形と捉えるべきであろう。
妻面は板で丁寧に壁が組まれている。開口部の上には庇が出ていて雨や雪を遮る。
ここにもあった2階から合掌造りの民家。
丁度屋根の茅を葺きなおしていた。菅沼では茅場が近くにあって供給しやすく、古くなった茅は肥料に使われる。そのために差し茅は頻繁に行われるという。
参考資料 リンク
南砺市

参考文献
『図説 日本の町並み5 北陸編』 太田博太郎他 第一法規
『日本の美術287 民家と町並 関東・中部』 清水 廣 至文堂
『民家巡礼 西日本編』 溝口歌子・小林昌人 相模書房
『日本の町並みT 近畿・東海・北陸編』 西村幸夫監修 平凡社