数馬 かぶと造り民家が多く残る東京の山岳集落

東京都
檜原村
数馬





交通

JR五日市線武蔵五日市駅よりバス





仲町




1992.12.27
2011.07.16
多摩川の支流、南秋川を上流へとさかのぼっていくと谷は険しくなり、山の斜面にへばりつくような集落が現れてくる。往時の往来は、上野原(甲州街道)やゆず原から笠尾根を越えた道に賑わいがあった。そのため、甲斐国富士山麓にみられるかぶと造りという破風の大きな入母屋屋根の農家が多くみられる。山村で耕地が乏しい地域であるがゆえ、養蚕が盛んになり生まれた民家形態である。
主屋前面に出桁をはね出し、軒を大きく切り上げて中二階にしたものと、妻部分を二、三層にして採光や通風を確保したかぶと造りがあった。いずれも屋根裏を蚕室として利用した名残である。妻の形態は、外に傾斜した大きな破風にそりがつけられ、木格子をはめ込んだものが多いが、上層の民家ではさらに寺社風の懸魚をつけて妻を飾ったものがある。なお、ここ数馬にも武田氏の落武者伝説がある。
数馬の古民家
数馬の里という温泉施設に利用されている
 



石垣を築いた大きな屋敷
かぶと造りの屋根
出し桁にして屋根を構成する三角形の底辺を長くし、蚕室利用される屋根裏空間を大きくしようとしたのであろう。
大きな古民家は宿として活用されている(上)

最奥の集落には温泉旅館が並ぶ。かつての民家の付属屋は板蔵
また、檜原村は石垣が美しい地域でもある(左)

1992年に撮影した檜原村の山村(下)

1992年の数馬
かなり茅葺屋根が残っていた。現在は数を減らしているが、それでも他の地域に比べて多い印象である。東京都の山村に茅葺屋根が多く残っているというのも皮肉なものである。
 
参考資料 リンク
檜原村

参考文献
『図説日本の町並み 3関東編』(第一法規)