清水 キャンチピロティの防火建築が軒を連ねる復興の町

静岡県
静岡市
清水区
銀座
真砂町
本郷町





交通
JR東海道線清水駅下車





清水





2016.11.20


清水港は三保半島に抱かれる良好な立地を生かし、江戸幕府が開港、1899年(明治32年)開港場に認定されたのち、徐々に整備がなされ日本有数の貿易港となった。工業原料がこの港を介して輸入されてきたほか、遠洋漁業基地としても発展した。その港に面する中心都市が清水である。市街地は、巴川下流北岸の旧東海道江尻宿、駿府の外港から発展、沿岸の工場立地を背景に近代急速に発展した。中心繁華街は清水銀座で、旧東海道に沿っている。
太平洋戦争時に空襲を受け中心市街地のほとんどを焼失しており、戦後復興の町並みが見られる。駅前銀座のアーケード街もさることながら、旧江尻宿の銀座商店街で形成された町並みが興味深い。沿道に建設される建物は防火建築とし、1階をキャンチ(片持ち梁)形式のピロティににして歩道空間を整備し、車道を充実させた。その際、共同建築だけでなく単独敷地でもこの形式にしている点が面白い。このスタイルは、先例の沼津アーケード名店街(共同建築が主体)を参考にしていると思われる。1952年に制定された耐火建築促進法により、都市の不燃化への取り組みとして「防火建築帯」という店舗兼住宅形式の不燃共同建築が地方都市の中心市街地に形成されたことが知られているおり、その一種である。
戦災都市概況図:清水
旧東海道の線形にあたる清水駅前銀座のアーケード街
清水駅前銀座商店街
清水駅前銀座商店街の線路側に平行する通りは飲食店街。一部に集合体があった。
清水銀座商店街
旧東海道江尻宿にあたる。

清水銀座商店街の町並み
戦後のモータリゼーションに対応すること、都市の防火対策のために建物を不燃化すること、この二つの目的を敷地の所有者の土地を減らすことなく(建物を建てられる権利も含め)成立させたアイデアにより、1階ピロティ形式の防火建築帯が生まれたと考えられる。
清水の場合は、共同建築だけではなく個々の建築が並んでいること、先端に柱がないことが特徴。先例の沼津アーケード名店街を参考に発展させたと思われる。
 
清水銀座商店街の町並み
清水銀座商店街の町並み
清水銀座商店街の町並み
一軒だけ先端に柱のある建物があった。よく見ると戦前の様式。おそらく、戦災を免れた商家を残し、1階をくりぬいてルールに対応したものであろう。

銀座小路という飲食店街
銀座通りに直交する形で造られている。(上)

本郷町の戦前の商家
戦災を免れた建物であろう。
参考資料 リンク
静岡市

参考文献
国立国会図書館デジタルアーカイブ 全国主要都市戦災概況図