古市 おかげ参りの精進落しで賑わった旧歓楽街

三重県
伊勢市
古市町




交通

近鉄鳥羽線五十鈴川駅下車




古市




1996.9.16
2004.11.06
2008.12.26
伊勢神宮は天照大神を祀る内宮と、衣食住・産業の守護神豊受大神を祀る外宮からなり、起源は五世紀末と推測されている。もともと伊勢の地方神であった伊勢神宮は、大和朝廷と伊勢国が関係を深めるに伴い地位を確立し、やがて内宮の門前町=宇治、外宮の門前町=山田、伊勢神宮の外港=大湊、神社(かみやしろ)=河崎といった集落が形成された。そして「おかげ参り」といった庶民の集団参宮のアクセスルートである伊勢街道は山田から古市を通って宇治で終点となる。
古市は、参宮を済ませた人々の「精進落し」の歓楽街として賑わった町。天明・寛政期(1781-1801)の頃には妓楼70軒、芝居小屋2軒を数えた。明治期になって交通が発達すると参宮者の足が遠ざかり次第にさびれていった。山田と宇治の間にある「間ノ山」の尾根筋を通る伊勢街道に沿って形成された古市の妓楼は、山の斜面を利用してつくられた「懸造」として知られる。現在、残っている妓楼は麻吉旅館だけで、単なる住宅地に見える古市の町の中で異彩を放っている。

麻吉旅館
最上段に2階建があり、坂に沿って段々に下へ延びている。一番下は蔵で全体で5、6層になるか。
伊勢街道にはかつての面影は全くない。
伊勢街道が山田方面に下っていくところに建つ建物。(上)

古市の町は郵便局のあたりで平面的な広がりを見せている。郵便局前で東へ分岐した通りの町並み。(左)
郵便局前で東へ分岐した通りの町並み。(左)
麻吉旅館全景の古写真
麻吉旅館の古写真
油屋旅館の古写真
(現存せず)
参考資料 リンク
伊勢市

参考文献
『図説 日本の町並み6 東海編』 太田博太郎他 第一法規