鞍馬 鞍馬街道の物資の中継基地として栄えた門前町

京都府
京都市
左京区
鞍馬本町




交通

比叡電鉄鞍馬線鞍馬駅下車





鞍馬



2004.10.29
 鞍馬街道は京から若狭・丹波へ通じる街道。鞍馬川に沿って北へ向うこの街道の両側に鞍馬の町並みが形成されている。8世紀末に鞍馬寺が創建された時点で集落は存在していたという。由岐神社が御所から現在の鞍馬山山頂に移されたの930年に社家たちが一緒に移り住んだのが始まりとも言われている。鞍馬寺は毘沙門天を本尊とし、平安時代は王城鎮護の寺として栄えた、藤原時代に浄土信仰が盛んになると、八瀬や大原とともに洛北の浄土として信仰されるようになる。鎌倉時代から室町時代には現世利益を願う福神信仰により毘沙門天の信仰を集め門前集落は発展した。一方、街道は若狭方向からの魚や木材などが、京からは数々の品物が運ばれた。このような物流の要衝の地として、14世紀中頃には商人組織が存在していたことが確認されている。近世になると参拝客はますます増加し、都の人口増加にともなって薪炭の需要も増大して、鞍馬はさらに栄えた。
 鞍馬の町並みは、鞍馬川と鞍馬山に挟まれた町並みで、地形に従ってうねりながら北へ徐々に上っている。家々はかつて薪炭産業で栄えた面影を感じる立派な造りのものもある。中には京都市内で殆ど見られなくなった本卯建をあげた家も見られるなど、古い家屋が多く残る。低い2階建てで卯達をあげている滝沢家は鞍馬で最も古い家で、1760年頃建築された国重文である。
 連なる屋根の上には山の緑、家々の間からは時折鞍馬川の流れが見られる。ぞの自然環境はすばらしく、今でも洛北の浄土と呼ばれるに相応しいものである。
比叡電鉄鞍馬線の終点、鞍馬駅。
門前町らしい駅舎のデザイン。こういう駅が迎えてくれると旅情が増すのだが、最近の駅舎デザインはなんともそっけない。
鞍馬寺へ向う参道。土産物屋や旅館が建ち並び往来する人が多い。(上)

山門前を過ぎると人通りは急激に減る。鞍馬寺への観光客は殆ど町並みを歩こうとはしないようだ。敷地の奥行きがあまりないためか、主屋と付属屋が交互に並ぶケースが多いようだ。(左)
鞍馬街道の町並み。街道が徐々に京に向って下っていくため敷地前面は高さ調整の石垣が積まれる。

鞍馬川の水は上手に分岐され街道脇の側溝に導かれ流れている。(上)

京都市内でも殆ど見なくなった卯建をあげた古い民家が残っている。(左)
町のちょうど真ん中あたりの町並み。
卯建をあげた家は1760年に建てられた滝沢家で国の重要文化財。
町の北の端付近が町並み景観としては最もいい。家々の統一感と街道が曲がって上っているため、

鞍馬川側の敷地は奥行きが狭いため川ぎりぎりめいっぱいに建てられている。(上、左上)

鞍馬川の水は樋で街道脇の側溝へ導かれている。(左)
参考資料 リンク
京都市

参考文献
『図説 日本の町並み7 近畿編』 太田博太郎他 第一法規
『日本の町並みT 近畿・東海・北陸』 西村幸夫監修 平凡社