塔ノ沢 狭い国道一号線に明治期以来の旅館建築が並ぶ

神奈川県
箱根町
塔ノ澤




交通

箱根登山鉄道塔ノ沢駅下車






塔ノ沢





2007.05.26
塔ノ沢は箱根の中では比較的新しい温泉で、江戸時代初期、慶長9年(1604年)塔ノ峰山中で修行をしていた弾誓上人がこの温泉を発見したといわれる。江戸時代には箱根湯本、宮ノ下などとあわせて「箱根七湯」の一つに数えられた。
箱根湯本の町を過ぎ、国道一号線を早川渓谷に沿って上っていく。塔ノ沢温泉の手前にある箱峰洞門(近代土木遺産)は、明治時代に箱根湯本に滞在していた福沢諭吉の提案により、箱根の旅館主たちの出資によって造られたものである。次の千歳橋も土木遺産である。
千歳橋を渡ると塔ノ沢の旅館街である。最初に出会う古い旅館建築の福住楼は、明治期に創業された福住楼という老舗旅館で、数多くの著名人が宿泊している。さらに上ると、美しい自然と建築が調和した環翠楼がある。明治23年伊藤博文が宿泊した際、当時の建物を環翠楼(緑の木々に囲まれた高殿の意)と詠んだ漢詩を贈り、以後「元湯 環翠楼」となった。現在の建物は大正8年〜13年の建築で、全国各地より集められた銘木で造られた木造4階建ての和風旅館である。
塔ノ沢の町並みは、観光バスが道幅いっぱいいっぱいにすれ違うほど細く曲がった国道一号線に沿っている。交通量も多く歩道も無いためとても歩きづらい。しかし、天下の国道一号線である。箱根の山を越える幹線国道として、交通量の多さが逆に絵になる町並みといえる。

土木遺産の箱峰洞門と千年橋。
福住楼は、1890年(明治23年)、この箱根・塔ノ沢温泉にあった旅館、「塔ノ沢福住」を元熊本藩士の澤村高俊が買い取り、初代女将長谷川まつにより創業された旅館。現在の建物は1910年の大洪水の後に200mほど箱根湯本方面に下った千歳橋の袂ににあった旅館を手に入れ、「福住楼」として営業を開始されたものである。
塔ノ沢温泉の町並み
国道1号線を行き交うクルマが絵になる。
環翠楼は大正8年〜13年の建築で、全国各地より集められた銘木で造られた木造4階建ての和風旅館である。温泉は単純泉で肌に優しく効能は神経痛やリュウマチなどに効き3本の源泉より引いた掛け流しの温泉になっている。
環翠楼の隣にも古そうな旅館建築があったがすでに営業はしていないようだ。やがて取り壊される運命なのか。
参考資料 リンク
箱根町

参考文献