本卯建も見られる切妻3階建て養蚕農家の集落

兵庫県
大屋町

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2006.05.27
大屋町は兵庫県の北西部、円山川支流の大屋川上流域を占める但馬高原の農業・鉱業の地域である。この地域では、全国的にも珍しい切妻3階建ての農家を見ることができる。多層の農家といえば養蚕のために生まれたものが多く、それぞれの地域で独特な形態が培われた。大屋川上流域の民家もその一つである。
かつての養蚕農家は、切妻3階建で2階以上に丁寧な土壁が施されている。筏地区では漆喰塗のものが多く、デザイン的に完成度の高い民家が多い。平側2,3階の窓の配置は規則性が無く不思議である。中には本卯建を上げているものも見受けられ、但馬地方の町家の特徴的形態が農家にも影響を与えているようだ。
筏集落は大屋川上流の養蚕を営んでいた集落。県道から大屋川を渡る。
川を渡ったところにある民家。不思議な2、3階の窓がこの地域の養蚕農家の特徴。
現在は養蚕を行っていないが、階高の低い2,3階をどう使っているのだろうか。
2階建ての蔵。
筏地区で最も大きな3階建て養蚕農家。本卯建があり大変優れた形態である。手入れも非常に良い。
卯建は延焼防止が本来の機能で有るが、妻面に開口部があるため機能より様式として用いられていることがわかる。
上の民家を裏側から見たところ。
蚕をたくさん生産するため多層にするのは分かるが、なぜ窓をずらすのであろうか。そこが意匠的に面白い。
養蚕農家の窓に有る見サッシュを入れた民家。今、現代建築で流行っている「素材感のある壁と千鳥窓」としてみても斬新である。
2階と3階の間に庇をつけた民家。
前面に庭と店(現在営業していない)を持つ民家。

筏地区は大屋町の中でも漆喰壁のものが多い。
旅館として使われている3階建ての旧養蚕農家。(左、下)
筏地区よりさらに上流にある中間地区。
ここにも漆喰壁の3階建て養蚕農家が多く見られる。
中間地区。
若杉峠から大屋町方向を眺める。
若杉峠を西へ下ると若桜街道に出る。鳥取県は直ぐ近くである。
参考資料 リンク


参考文献
『ぼくらはまちなみたんてい団』 なんたんまちなみたんてい団 北星社