函館 様々な様式が混在する近代建築のテーマパーク

北海道
函館市

末広町
元町
弥生町
船見町
弁天町

弁天町の太刀川商店(明治34)は、煉瓦造漆喰仕上げ商店建築。脇に木造洋館が並ぶ。
(東京都 萩原さん撮影)

弁天町の太刀川商店に近い、同様の和洋並列型の民家(2003.8撮影)

末広町の旧金森商店(明治13)は明治40年の大火を逃れた煉瓦造漆喰建築。
(東京都 萩原さん撮影)

電車通りと相馬商店(大正5年)
木造2階建てのルネッサンス洋式の建物は、この場所が業務中心であったことを感じさせてくれる。(2003.8撮影)
金森倉庫と函館山
かつての港倉庫街はショッピングモールとなった。(2003.8撮影)

純和風の蔵。どこかに洋がはいっているかも・・・
(東京都 萩原さん撮影)
天主公教会前の元町の町並み
1階和+2階洋の折衷洋式。函館が有名だが、このスタイル、他の町にもちらほら見受けられた。(2003.8撮影)

基坂下の町並み(西部病院跡地前)。蔵と店を通り沿いに並べ居宅を奥におく配置は共通の形態。(2003.8撮影)

大町の中華会館(明治43)。めずらしい中華風煉瓦建築。函館在住の華僑の交流の場だった。
(東京都 萩原さん撮影)
函館は、函館山から眺めると、ひとまとまりの都市。
1799年幕府が北辺の防備のため箱館奉行所を置く。1855年開港。大町の海岸を埋め立てて居留地が形成された。
明治、大正を通じて、北海道の漁業、商業の中心として繁栄した。
元町界隈の町並みは、明治から大正末期にかけて形成された。
漁業の衰退、中心地の移動(東へ)により旧市街は衰退する。

旧市街にあたる元町、弥生町、船見町、弁天町一帯は、函館山の麓の斜面に開けた町。街路は、等高線に沿う道と、山と海を結ぶ直行する道により構成される。
山麓地区と海岸地区は山の手と下町の関係。山麓地区には、役所、学校、図書館、公会堂、寺院が集まる。
函館公園から外人墓地へ至る細い道に、数多くの重要な建築が並ぶ。ハリスト正教会、東本願寺別院、旧渡島支庁舎、公会堂などが建つ。
基坂は明治12年の大火の後整備された坂道で、山の手の文化行政地区と海岸の商業業務地区を結ぶ主要街路。また、数々の道と坂が山と海と建築が見え隠れする特徴的な景観を形成している。
下町は、和洋融合の町家が建ち並ぶ、特徴的な町並みが見られる。

西部地区の町並みは、建物の様式に統一性がなく実に多様である。和風町家、和風邸宅、土蔵造風町家、洋風町家、和洋折衷町家、RC造の集合住宅など多種多様。一方、建物の高さ、寄棟の多い屋ね形式、下見板張りの多い壁形式が共通しており、多様ながらも統一感を感じさせる。

大正から昭和にかけては函館の黄金時代。函館全体が近代建築のテーマパークといっていい。

交通

JR函館本線函館駅下車


国道5号線



末広町


元町


弁天町
参考資料 リンク
函館のホームページ


参考文献
『図説 日本の町並み1 北海道・北東北編』 太田博太郎他 第一法規
『歴史の町並み 北海道・東北編』 保存修景計画研究会 NHKブックス
『日本の美術286 民家と町並 東北・北海道』 宮澤智士 至文堂