にっぽん集落町並み縦走紀行 
  
第12日 相生(兵庫県)~豊岡(兵庫県)
     大原 智頭板井原
  村岡柤岡 八鹿八木
 

柤岡(兵庫県香美町村岡区)
 
 昨夜は、岡山で食事をした後、兵庫県の相生まで移動し駅前のビジネスホテルに泊まった。第12日朝、相生から姫路へ出た。姫路駅のホームから姫路城が見えるが、修理工事中で覆いの鞘堂(さやどう)が被されている。そそり立つ石垣の上ギリギリに建っている天守閣なのにどうやって鞘堂(さやどう)を構築したのであろうか。

修理工事中の姫路城

 高速道路にのって岡山県に戻る。中国道から部分開通している鳥取道を経由して、鳥取国境に近い国道373号線沿いの大原へ行く。本日最初の町だ。ところがもの凄い雨である。小ぶりになるまで智頭急行大原駅で待っていたら特急列車の通過待ちで普通列車が長く停車していた。土手の花がきれいだった。

智頭急行大原駅

 大原は姫路と鳥取を結ぶ旧因幡街道の宿場町である。以前気にせずやり過ごしていたが逃した玉は大きかった。国の重伝建地区になっているわけでもないのにこれだけのものが残っているのは今や貴重な部類である。おそらく近く重伝建地区になるであろう。岡山の町並みを構成している家屋はどこもグレードが高いなぁと改めて感心する。
 町並みを歩くと大勢の地元の人たちが催し物の準備に精を出している。通りの両側に用水があり、その流れを利用して水車で動くアートを並べていて、これからストリートギャラリーが開催されるようだ。写真はゴルフのパッティングをする人形。いろんな素朴なアートがあって、心を和ませてもらった。

 国道373号線を北上し、志戸坂トンネルを越えると鳥取県である。智頭町は、2006年「鳥取ぼけぼけ紀行」で訪れたことがある。その時、智頭を歩いた後、板井原という集落を目指して山道を入っていった。トンネルができる前までは隔絶性の高かった板井原には、智頭町上板井原と用瀬町下板井原があるのだが、2006年は後者を訪れて安心し、家に帰って復習したら行くべき板井原は前者の智頭町上板井原の方だったと判明し、とても悔しい思いをした。ということで、今回はリベンジで上板井原に行く。2006年のときにしくじっていなければ、わざわざこのためだけに鳥取県に足を運ぶ必要がなかったのに。こういう場所が全国に散らばって残っているから縦走紀行をやるねばならない。

【回想】下板井原(用瀬町)

 2006年に用瀬の町から下板井原を目指した時は心細くなるような道で、行きついた下板井原集落はゴーストタウンであった。今回の上板井原は智頭町からアプローチしているが、前回と同じように心細くなるような山道である。そして、着いた上板井原は、同じくゴーストタウンであった。トイレ付の駐車場が用意されている点は、下板井原とは違うが、伝建地区とは思えないほどさみしい。雨がたくさん降っているのも寂しさの演出なのかもしれないが。人っ気がまったくないので気持ち悪いが、町並みとしてはいい集落だ。
 

旧因幡街道の宿場町の町並み

【回想】 津山城東(岡山県津山市)
岡山の町並みは質が高い


【回想】 倉敷本町(岡山県津山市)
岡山の町並みは質が高い

大原 水車で動くアート
 

上板井原(鳥取県智頭町)
 

 山道伝いに国境を越えて兵庫県香美町村岡区へ向かう。途中、ショートカットすべしと県道を走っていたら、峠が土砂崩れで通行止め。ひどく遠回りさせられた。今朝も姫路から大原に向かう時に道を間違えて時間をロスしたが、やはり今回トラブルが続く。国道9号線から県道に入り標高を上げていくと高原状の田園地帯に出た。美しい棚田を動画撮影して、さらに奥へ入っていく。目的地の村岡区柤岡集落に到着した。ここは、<いらかぐみ>Kさんに教えてもらった集落で、見事な天界の村である。天界の村は、関東地方から九州地方まで中央構造線の南側に分布しているが、こんな山陰地方にもあったとは驚きである。山深い地域で山の上の方が暮らしやすければ成立するわけで、局部的な天界の村を探っていくと他にもあるであろう。実は柤岡は、Kさんのふるさと。たまたま会った村のおばちゃんに聞いたら、家の場所を教えてくれた。Kさんは、すばらしい村で幼少期を過ごしたんだなぁとうらやましく思った。

柤岡にて

 山を下り再び国道9号線を走る。「日本の町並みⅡ」に紹介されている八鹿町八木を歩く。これが大した町並みではなかった。何で文献で紹介しているのか不思議なくらいである。かつては城下町だったそうだが、現在は単なる街道町で、本卯建と3階建ての養蚕農家が数棟見られる程度だった。
 今日は一日中雨。レンズをふきながらひと苦労だった。早々と豊岡のホテルに転がり込んで休む。二日目にしてすでに相当バテている。
 

柤岡 谷底の川ははるか下方

柤岡の町並み

八鹿町八木 本卯建の民家
 
   
 
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