旧中山道 京発三日目(2004.02.01-02)
 


やや夕方、米原駅に降り立った。タクシーに乗り運転手に彦根市内の城町へ行ってくれと告げる。彦根は何回か来ているが、すべて彦根城と近江牛が目的で町並みは歩いたことがなかった。神奈川県のhiromuさんが写真をくれたこともあって一度歩いてみたかった。今晩は彦根市内に宿をとっているので日が暮れるまでじっくり歩ける。タクシーは濠端を走り、町人町の端っこの旧四十九町で私を下ろした。

いきなり本卯建をあげた町家が出迎えてくれた。さて、ここから彦根の城西・城南に広がる町人町をねり歩く。端っこからスタートしているので案内板もなく狙いが定まらない。何本も通りの中からそれらしい通りを入っていったらhiromuさんから紹介された写真の場所、下魚屋町の町並みがあった。近江地方の特徴である、平入の中二階が漆喰で軒裏まで塗り籠められている町家が見られる。ここから、中魚屋町、職人町、上魚屋町、紺屋町、白壁町と隈なく歩いた。辻辻で屈折している町割りが残り、彦根城天守が見え隠れする景観は、まさに城下町である。

早朝、彦根駅前のホテルを出てJR線で米原へ。西口駅前から醒井養鱒場行きの路線バスに乗る。バスはいったんJRの線路を越えて米原駅東口に立ち寄る。その際、車窓から米原の町をチェックする。米原は新幹線から北陸線への乗換駅として有名だが駅前はぜんぜん発展しておらず、昔ながらの小さな町が残っている。それでも徒歩時代は栄えていたわけで、近代の洋風建築もありそうだ。何かの折に是非訪れたい町である。
さて、バスは米原の町の背後の山を上る県道を行く。旧中山道と交わる交差点のバス停で降りた。そこは番場宿の東で、ここから長い宿場を歩く。番場宿は、今まで歩いてきた湖東の宿場町とは趣が違う。いわゆる軒を連ねる平入の町家ではなく、一軒一軒間隔をとって建ち並ぶ街道沿いの農村の形態である。数件見られた余呉型の民家以外あまり古い民家がみられない。ちょっと不思議な感じを受けた。

番場交差点からバスに乗り醒井駅へ向かう。天気がだんだん怪しくなってきて雪が舞い始める。
醒井宿は一昨年前に訪れたが時間がなく宿場町のすべてを歩いていなかったので再訪である。トラックがゴーゴー走る国道を歩いて宿場町の西端から旧道に入る。昭和町、西町は裏手に清流の地蔵川が流れる町並みである。ようやくメインの中町に来たところで吹雪き始めた。傘を持つ手がちぎれるほど冷たい。必死の思いであったか缶コーヒーを買って暖をとる。
醒井の中町、地蔵町は清流が街道に沿って流れる美しい町並みである。地蔵川の始まりである居醒の清水を過ぎ、宿場の東端である新町まで歩いた。そこで時計を見たら列車の発車時間の7分前!。宿場の中を猛ダッシュで駅に向かい、切符も買わずホームに飛び込みギリギリセーフ!。ダッシュの速度といい走った時間といい、近年で一番の運動をした。しばらく筋肉痛が止まなかった。

彦根
番場
醒井